【プロ直伝】メンズアパレル物撮りの基本!黒つぶれや歪みの対策
この記事でわかること
- メンズアパレル特有の撮影の難しさと解決策
- 黒・ネイビーが多い商品の色再現における考え方
- トルソー/ハンガー/平置きの最適な使い分け
- ライティングでブランドの世界観をガラリと変える方法
- セルフ撮影の限界と、プロに依頼すべき具体的な判断基準
「こだわりのメンズシャツを、きちんとした写真で紹介したい!」 そう思って撮影してみたものの、思ったよりも地味に見えたり、素材のよさが伝わらなかったりして、戸惑った経験はないでしょうか。
洋服の物撮りは、ただ正面から撮ればよいというものではありません。 シルエットの整え方、光の回し方、背景の選び方ひとつで、同じ服でも印象は大きく変わるのはもちろん、特にメンズアパレル全体の撮影の考え方として、肩のラインや襟、素材の重厚感など、細かなディテールが魅力を左右します。
この記事では、物撮りドットコム所属のプロのカメラマンが、〈メンズアパレル撮影〉における基本から応用、プロならではの品質管理までを整理し、実際の撮影でこだわっていることやテクニックを解説します。
メンズアパレル物撮りならではの特徴と注意点
メンズアパレルの物撮りでは、女性用アパレルのようなしなやかさとは異なり、独自の「男性的な美しさや機能美」をロジカルに表現する視点が必要になります。
「直線」と「肩のライン」で逞しさを表現する

メンズアパレルのスタイリングは、女性用とは異なり「直線的なシルエット」をつくるのが基本です。 肩線(ショルダーライン)が少しでも下がったり歪んだりするだけで、だらしなく安価な印象になってしまいます。 肩幅・着丈・袖丈のバランスを緻密に整え、縦のラインを強調することで、商品の持つ逞しさやブランドの信頼感を演出することを大切にしています。
黒・ネイビー・暗色がつぶれない色再現設計

メンズ商品は黒やネイビーなどの暗色が大きなシェアを占めるため、通常の光量不足環境ではディテールが見えなくなる「黒つぶれ」が発生しやすい傾向にあります。 反対に、つぶれを防ごうと光を強く当てすぎると、生地表面に不自然なテカリ(白飛び)が発生してしまうため、暗部の階調(ディテール)を美しく残しながら立体感を出せるよう、複数灯によるライティングや背景とのコントラスト設計を徹底しています。
素材のタフさ・重厚感をどう写すか

デニム・ウール・レザー・ナイロンなど、メンズ特有の素材は光の反射や吸収の仕方が大きく異なります。 商品の重厚感や上質さを引き出すには、単に全体を明るくするのではなく、影(シャドウ)をあえてコントロールして立体感をつくることが重要で、平面的に撮影してしまうと、どれだけ高級な生地でも安価な印象に陥りやすいため注意が必要です。
レディースとの違い|サイズ感と撮影スペース

メンズ服はレディース服に比べて「着丈が長く、肩幅も広い」ため、カメラとの距離が近いと写真の端に歪み(レンズの収差)が発生してしまいます。 特にスーツやセットアップなどのジャケットとボトムの撮影では、歪みを防いでまっすぐ写すための十分な撮影距離と専用スペースの確保が必須になります。
【手法別】メンズ洋服の基本的な撮り方

商品の特性や、届けたいターゲットが受け取る印象にあわせて、3つの基本手法を戦略的に使い分けています。
トルソー|立体感と着用時のシルエットをリアルに伝える

トルソー(マネキン)撮影では、洋服の肩線と中心線をトルソーの骨格へ正確にあわせることが最優先となります。 特にテーラードジャケットは、肩パッドのラインが美しく出るよう内側から微調整を施して型崩れを徹底防止したり、 実際に人間が着用した際の「重心バランス」をカメラ越しに意識してセッティングすることで、格段に高級感がアップします。
ハンガー|落ち感と素材感を活かす

シャツや薄手のカットソーなど、自然な「抜け感」を出したいアイテムにはハンガー撮影が極めて有効です。 ただし、安価なハンガーによる「ハンガー跡」や、肩部分の不自然な飛び出し(型崩れ)には細心の注意が必要になります。 たとえば、重力に従って下に落ちる生地の場合、ラインを自然かつ美しく見せるため、裾の広がりやドレープをふさわしい状態に整えるのがポイントです。
平置き(フラットレイ)|雰囲気設計で印象が変わる

洋服はすべてトルソーに着せるわけではなく、平置き撮影にも対応しており、見せたい雰囲気によってアプローチを変えています。
ディテールを正確に見せる「整然型」
商品のシワをスチーム等で取り除き、左右対称、直角を意識して整然と配置する手法で、カタログやECサイトのメイン画像において、ユーザーに抜群の「信頼感」と「正確な情報」を伝える用途におすすめです。
空気感を演出する「ニュアンス型」
あえて袖に緩やかな曲げを加えたり、自然なドレープ(シワ感)を残すことで、着用時のライフスタイル感を演出する手法です。 InstagramなどのSNS発信や、ブランドイメージ(世界観)をエモーショナルに打ち出したい用途に選ばれています。
【応用編】ライティングで劇的に変わるメンズの世界観演出

光と影を自在にコントロールするプロのライティング技術によって、同じ服であってもショップの表情を大きく変化させることができます。
重厚感を出すダークライティング

光と影のコントラストを意図的に強め、男らしさや高級感を際立たせる技法で、単なる暗い写真にするのではなく、見せたいディテール(ハイライト)と引き締める影(シャドウ)の絶妙なバランスが鍵となります。
清潔感を出すナチュラルライティング

影の輪郭を柔らかく分散させ、全体に爽やかでクリーンな印象を付加する技法は、ビジネスカジュアルな白シャツ、春夏コレクション、ライトカラーのアイテムなどに最適なライティングです。
ブランドの世界観を魅せる背景設計

EC商品用の写真は、まず第一に「伝わる」ことが重要です。
シルエットが正確であること、色味が実物に近いこと、ディテールが分かることを大切にしたうえで、おしゃれさやブランドの世界観などの要素を盛り込んでいきます。
特にメンズ服の場合、シンプルな背景は、ブランドのコンセプトをエッジィに表現し、広告、LOOKBOOK(ルックブック)用途で競合と差別化を図るのに効果的で、お洋服を引き立てる簡単な小物を周辺に配置した平置き撮影なども、商品の魅力を際立たせるのに役立ちます。当サービスでは、小物を活用し、白または黒の背景を用いた平置きでのスタイリング撮影に対応しております。「自社ブランドの世界観を少しプラスした写真を撮りたい」という場合は、まずは撮影の可否を含めて社内で検討させていただきますので、事前にご相談ください。
売上を左右する!撮影前の準備と品質管理

どんなに優れた撮影機材やカメラ技術があっても、撮影前の細やかな準備と品質管理が疎かであれば、売れる写真は生まれません。
メンズ特有のディテールチェック
アパレルでは、小さな歪みでも写真では目立つため、撮影中は以下を必ず確認し、細部にまでこだわって撮影します。
- 襟元の立ち上がり
- ネクタイの結び目の立体感
- カフスボタン、フロントボタンの向きの統一
- ジャケットの肩の張り具合
- パンツのセンタープレスの直線性
ほんの数ミリの細部の乱れやズレが、写真になった瞬間に「ユーザーが感じるショップへの信頼感」に直結するため、丁寧に確認しています。
商品到着後の管理と状態確認

当サービスでは、ECサイト掲載用の商品撮影を対象としており、お預かりした商品はスタジオ到着後、適切なハンガーへ吊るして管理いたします。綿や麻などスチームアイロンが可能な素材に関してはオプションで承っておりますので、ぜひご検討ください。なお、特殊な素材や特殊なレタッチの撮影をご希望の場合は、事前に商品写真を添えてお問い合わせくださいますよう、お願いいたします。
セルフ撮影の限界と、プロに依頼すべき判断基準
アパレルアイテムの中でも、シンプルなメンズ服は比較的セルフでも撮りやすいと感じるかもしれません。 自然光が安定して入る環境であれば、雰囲気のある写真は撮れますが、暗色の正確な表現や、ブランドとしての統一感を出すとなると難易度が上がります。
特に以下の場合は、スタジオ環境と撮影専用照明がある方が安定しますので、ぜひご検討ください。
- 背景透過が必要
- 色味を正確に出したい(暗色商品の色差防止)
- ブランドとして統一感を出したい
- 影を極力コントロールしたい
まとめ|プロの仕上がりでメンズブランドの価値を高める
メンズアパレルの商品撮影は、余計な装飾が少ないシンプルなアイテムが多いからこそ、ごまかしが利かず難易度が高い分野です。 特に、黒やネイビーの正確な色再現、生地の立体感、タフな重厚感は、撮影機材とスタジオ環境のクオリティに大きく左右されてしまいます。
商品を正確に、そして魅力的に伝えることは、ショップの返品率低下、ひいてはブランド価値と売上の最大化に直結する重要な要素です。 仕上がりにこだわりたい場合や、社内のリソースをコア業務に集中させたい場合は、プロに任せるという選択肢も、ひとつの前向きな判断としてご検討ください。